キャンプの醍醐味の一つが、自然の中での料理です。おいしい料理を楽しむのはもちろん、作る過程も素晴らしいキャンプの思い出作りになります。そこで今回は、初心者でも簡単に作れる燻製をご紹介します。おすすめの燻製器や燻製食材についてもご紹介しますので、この機会にぜひ手作り薫製に挑戦して、キャンプの楽しみをさらに広げてください。
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燻製の製法は3種類
燻製とは、食材をリンゴやサクラなどの木材でいぶし、煙によって独特な風味と香りをつける調理法です。
燻製の製法は、加工時の温度で3種類に分けられます。
熱燻法
熱燻(ねっくん)は、80°C以上の高温で食材をいぶす方法です。
木材をいぶす際に食材が一緒に加熱調理されるのに加え、調理時間も10〜60分程と比較的短時間なことから、簡易的な燻製方法といえます。
温燻法
温燻(おんくん)は、30℃〜80°Cほどの温度でいぶす、燻製のなかではもっともポピュラーな製法です。
調理時間は数時間から1日程度で、熱燻よりも長い時間じっくりといぶします。これにより食材の水分が減るため、保存食としてある程度の日持ちがきくようになります。
冷燻法
冷燻(れいくん)は30°C以下の低温でいぶす方法で、熱燻・温燻に比べると難易度の高い、上級者向けの製法となります。
燻製期間は短いものでも1日〜数日、長ければ1週間〜数ヶ月と長期間です。長時間いぶすことによって水分量が非常に少なくなり、長期間の保存が可能となります。
また、調理の際は火をつけておこした煙を30℃以下に冷ます必要があり、専用の器具や設備が求められます。加えて、食材の温度も30℃以下に保たなければならないため、気温の低い季節や寒冷地、高地などでの調理が推奨されます。
燻製器の選び方
燻製器は、熱燻・温燻・冷燻の製法ごとに異なります。
そのため、燻製器を選ぶ際は、ご自身が求める燻製方法を軸に選んでください。
また、燻製は調理の工程上、必ず独特の匂い煙が発生します。
もしキャンプだけでなくご自宅でも燻製を作りたい場合は、屋内でも使用できる器具かどうかを確認するようにしましょう。
おすすめの燻製器
編集部おすすめの、キャンプでの調理に適した燻製器をご紹介します。
燻製方法・形状・自宅でも使用する機会があるかなど、ご自身の目的に合わせて最適な器具を見つけてください。
燻製方法 | 形状 | 自宅での使用 | |
キャメロンズ ミニスモーカー | 熱燻法 | 箱型 | ◯ |
キャプテンスタッグ アドバンス折りたたみスモーカー | 熱燻法、温燻法 | 筒型 | △ |
コールマン ステンレススモーカー2 | 熱燻法、温燻法 | 筒型 | △ |
コールマン コンパクトスモーカー | 熱燻法 | 鍋型 | ◯ |
SOTO 燻家(スモークハウス) | 温燻法 | 筒型(ダンボール) | △ |
イージースモーカー | 簡易冷燻法 | スモークガン型 | ◯ |
これだけは揃えたい!キャンプでの燻製作りに必要なアイテム
燻製作りには、食材と燻製器のほかにも、食材をいぶす用の木材や火器が必要となります。
ここでは、燻製器以外で最初に買い揃えたい周辺アイテムをご紹介します。
スモークチップ
スモークチップは、木材を細かく砕いてチップにしたものです。
調理の際はスモークチップを直接燃やすのではなく、鍋の底や金属製の受け皿にチップを乗せ、その下から火で熱することにより煙を発生させます。
原材料となる木によって食材の香りや風味も変化するので、さまざまな種類のチップを試して、自分の好みを見つけるのも楽しみの一つです。
スモークピート
スモークピートは、燻製を作る際にスモークチップに混ぜて使うアイテムです。
ピートとはウイスキーの製造にも使われる「泥炭」のことです。燻製にピートを使用することで、スモーキーな香りがより引き立ちます。
形状によってブロック・チップ・パウダーと種類があり、ここではもっとも一般的なパウダー状のアイテムをご紹介します。
バーナー
バーナーは、スモークチップから煙を発生させるための熱源です。
家庭用のカセットコンロでも代用可能ですが、 キャンプでは2つのものが同時に調理ができるツーバナーをおすすめします。
初心者でも簡単!燻製の作り方
それでは、実際の燻製の作り方をみていきましょう。
ここではキャンプ料理に最適かつ、初心者でも簡単に作れる、簡略的な燻製の作り方をご紹介します。
味付けをする
まずは食材の味付けを行います。
前提として、初心者の場合は生鮮食材ではなく、チーズやベーコンやソーセージといった加工済み食材からチャレンジすることをおすすめします。
そのまま食べることを想定した加工食品であれば、味付けの工程を省略できるからです。
加工食品に味付けをする場合は、お好みに合わせてハーブやスパイスを追加したり、塩気を足したりしてください。
生鮮食品からチャレンジする場合は、以下で紹介する①〜③の手順を別途で追加してください。
(加工食品の場合は、次に紹介する「乾燥させる」まで飛ばしてOKです)
①下処理
まずは食材の水洗いや汚れ取りといった下処理を行います。
生肉の場合は不要な筋や脂身を取ったり、魚の場合は内臓や血合いを取ったりして、食べやすい状態に処理しておきましょう。
②塩漬け
味付けされていない食材を使う場合は、塩あるいはソミュール液と呼ばれる塩水で食材を漬け込み、塩漬けにします。
塩漬けにすることで味付けができるだけでなく、食材の水抜き・腐敗防止ができ、保存性が高まります。
③塩抜き
塩漬けした食材を、今度は塩抜きします。
塩抜きをしないと、食べたときに塩辛くなりすぎたり、塩の濃さが均等にならなかったりします。
基本的に食材の表面部分は塩味が濃く、中心部分は塩の浸透が低いため、食材の表面を水洗いして塩を落とします。流水では洗う部分にムラができるので、ボウルなどの容器に水を張って洗いましょう。
乾燥させる
味付けが完了したら、次に食材を乾燥させます。
燻製作業に入る前に、食材を風通しのよい場所に陰干しして、自然乾燥させましょう。
乾燥によって食材の水分がさらに抜けることで、燻製の際に加熱されやすくなります。また、スモークの匂いや風味が濃くなりすぎない、あるいはスモークの匂いが移らない、といった失敗を防ぐことができます。
さらに、乾燥させることによって食材の旨味が増す、保存性が高まる、といったメリットもあります。
キャンプで作って食べる簡易的な燻製なら、カラカラになるまで乾燥させずとも、表面が乾く程度でも大丈夫です。
「食材の下準備は自宅で、燻製作業はキャンプ場で」といったケースであれば、自宅の冷蔵庫やクーラーボックスにしばらく入れておくのも手です。時間がないときは、キッチンペーパーで表面の水分を拭くだけでもOK。
ただし、保存食を作る目的の燻製であれば、日陰で数時間〜数日間かけてしっかりと乾燥させてください。
燻製する
最後に、いよいよ燻製作業に入ります。
使用する燻製器にはよるものの、基本的には以下の流れです。
- 器具の火気部にスモークチップを置く
- 食材をセットする
- スモークチップを熱でいぶす
- スモークが食材に移るまで待つ
熱燻・温燻・冷燻と、製法によって必要な温度や時間が違うため、調整しながらいぶしていきましょう。
また、完成した直後の食材は、香りや風味が濃すぎてクセを強く感じる場合があります。
そのため、スモークが完了したあとはしばらく乾燥させておくのがおすすめです。香りと風味が食材に馴染むだけでなく、旨味がさらに凝縮されます。
燻製におすすめの食材15選
燻製に適した、おすすめの食材15選をご紹介します。
さまざまな食材や味付けを試して、自分だけのオリジナル燻製を作ってみてください。
チーズ
初心者にもおすすめなのがチーズです。
加工食品のため、面倒な下準備不要で簡単においしい燻製が作れます。お子さまのおやつにも、お酒のおつまみにもぴったりです。
たまご
燻製食材としてたまごは非常にポピュラーで、「くんたま(燻製卵)」の愛称もあるほどです。
単なる茹で卵で作ってもおいしいのですが、塩の代わりにタレで漬けた味玉にしておくことで、お店級のくんたまが手軽に作れます。
ベーコン
ご家庭で焼くだけの状態で売られているベーコンを使えば、下処理を省いて、好みの味を付け足した燻製ベーコンを作れます。
燻製作りに慣れてきたら、豚バラ肉を使った自家製ベーコンもおすすめです。
ソーセージ
市販のソーセージを使って、自家製スモークソーセージを作ってみるのはいかがでしょうか。
加工肉なので下処理などの準備は不要。いぶすだけで、初心者でも本格的なスモークソーセージが作れます。
鶏肉・ささみ
鶏ささみは、ぜひ自分好みの味にチャレンジしていただきたい食材です。塩漬けの代わりにタレを使うと、格別の味になります。
完成したスモークチキンは、食べる前に火で炙ったり、サンドイッチの具にしたりしてもおいしいです。
豚肉
生の豚肉を使った燻製は、燻製の腕前が中級以上になったらぜひ挑戦したい一品です。
ブロック肉を燻製することで、スモークの香りと風味が漂う、自家製ローストポークやローストハムが作れます。
サーモン
本来は冷燻でじっくりと時間をかけて作るスモークサーモンですが、実は熱燻・温燻でも作れます。中まで火が通りきらない半生に近いスモークサーモンも、キャンプならではの味で格別です。
おいしく作るコツは、サーモンの水分をしっかり抜くことと、十分に乾燥させることです。
牡蠣
魚介類が好きな方には、牡蠣の燻製はいかがでしょうか。
塩漬けしたあとに茹でるため下準備に少し手間はかかりますが、お酒のおつまみに最高の逸品です。
タラコ
塩気がきいていて、こちらもお酒のおつまみに最適です。
燻製することによって、外はしっかりとスモークが香り、中はしっとりとした食感が楽しめます。
タコ
スーパーやコンビニでも見かける「くんたこ」も、燻製器で自家製できます。
市販の茹でタコを使えば、下処理の手間が省けておすすめです。
ホタテ
乾燥ホタテ、貝ヒモ、貝柱…と、おやつにもおつまみにも人気のホタテは、燻製にしても非常においしくいただけます。
ししゃも
魚介の中でも、ししゃもは内臓処理なしで調理できるため、燻製に向いている食材です。
生のししゃもを使ってもよし、時短で調理したいときは干物を使ってもOKです。
子持ちししゃもなら、外はパリッと卵はしっとりに仕上がります。
ちくわ
ちくわの燻製は、下準備不要・短時間で完成・失敗知らずと、燻製初心者の方に非常におすすめです。
同じ練り物なら、かまぼこやはんぺんなどもおすすめです。本来は生でも食べられる食材なので、お子さまでも安心して召し上がっていただけるのもポイントです。
ポテトチップス
変わり種として、ポテトチップスの燻製もぜひお試しいただきたいです。
ポテトチップスといったスナック菓子全般は、塩気がきいていて、乾燥していて、下処理が不要で…と、実は燻製と相性がいいのです。
ただし、煙があたって湿気りやすいので、燻製にしたあとは早めに食べきるのがいいでしょう。
ナッツ類
ナッツ類は、簡単においしい燻製ができる、燻製食材の定番です。
基本的にナッツ類であればなんでもOKなので、ミックスナッツを使うことで、より手軽に多くの種類が楽しめます。
燻製をより楽しむための調味料
燻製の醍醐味の一つは、好きな味付けを楽しめる点です。とはいえども、最初は何を使えばいいのかが悩みどころではあります。
初心者でも失敗しにくい、燻製をより楽しむための定番調味料は5つです。
定番の味に慣れてきたら、ご自身の味覚に合わせて少しずつアレンジをしていきましょう。
塩
とにかく万能なのは塩です。味付けに困ったら、まずは塩を使ってください。シンプルに塩だけで味付けをすれば、大きな失敗はないはずです。
しかしながら塩は、実は種類によって味が違い、意外と「沼」が深いものです。
一般的に販売されている味塩でもまったく問題ないのですが、産地や製法などを含め「徹底的に塩にこだわる」という楽しみ方もあります。
ペッパー
万能香辛料である胡椒(ペッパー)も、失敗がほとんどない調味料の一つです。
そもそも胡椒自体が燻製との相性が抜群で、ブラックペッパーの燻製が調味料として販売されているほどです。
塩だけでは物足りないときや、少しスパイシーさがほしいときには、お好きなペッパーを一振りしてみてください。
ガーリック
味にパンチを足したいときには、ガーリックスライスやガーリックパウダーを使うのがおすすめです。
基本的にどの肉や魚とも相性がよく、食材の旨味を引き立てるだけでなく、栄養効果が高まることも期待できます。
また、ニンニク単体で燻製にしてもおいしいので、お好きな方はぜひお試しください。
オニオン
食材に旨味を足したいときは、オニオンパウダーやオニオンスパイスといった、玉ねぎを使った調味料を使ってみてください。
「飴色玉ねぎ」といった表現もあるように、玉ねぎは加熱すると香りや甘みを増す性質があります。その成分が凝縮された調味料を使うことで、料理に複雑な旨味をプラスできます。
特に肉料理と相性がいいので、豚や鶏を燻製するときに使えば、いつもよりワンランク上の味になるはずです。
砂糖
こちらは食材に混ぜるのではなく、スモークチップに混ぜて使います。
チップに少量混ぜることによって、砂糖の粒子が食材を覆い、スモークの香りや色が付着しやすくなります。
上白糖・三温糖・グラニュー糖でも大丈夫ですが、一番のおすすめはザラメです。上白糖などを使用する際にも、ザラメを混ぜ込んでおくことをおすすめします。
なお、食材の下準備に砂糖を少量使用するなら別ですが、砂糖をメイン食材として燻製するのはあまりおすすめしませんのでご注意ください。「砂糖の燻製」の味を想像していただければ、理由はおわかりいただけるかと思います。
燻製に合うお酒
燻製は香りと風味が豊かなことから、基本的にどのようなお酒とも合うため、おつまみに最適です。
なかでも特に相性がよいのは、ワインやウイスキーといった、味の濃い料理に負けないタイプのお酒です。
ぜひお好きなお酒に合わせて楽しんでください。
ビール
どのお酒にも合う燻製と、どの料理にも合うビールなら、相性は間違いないです。飲み物に迷ったら、まずはビールで楽しんでみてください。
燻製の濃いめの味付けと、喉ごしのよいビールとの組み合わせは最高です。
クラフトビールとの相性もよく、個性的な味の料理とお酒を合わせることにより、いつもより特別な気分に浸れます。
ウイスキー
燻製を語るうえでは外せないお酒が、ウイスキーです。
ウイスキーは燻製と同じく、製造の過程でピートや木樽を使います。そのため、燻製料理と香りが共通する部分があるのです。
特にスコッチウイスキーは「ピートによるスモーキーな香りが特徴」と表現されることも多く、燻製と抜群にマッチします。
ワイン
ワインは全般的に、塩気が多く味の濃い料理によく合います。
そして、ワインのおつまみの定番として挙がるチーズやベーコンやサーモンに、より塩気を足して旨味を凝縮させたのが燻製です。
つまり、スモークチーズ、スモークベーコン、スモークサーモンといった燻製料理とワインは最強の組み合わせといえます。
日本酒
意外に思われるかもしれませんが、実は燻製は日本酒とも相性がいいです。
日本酒自体が何にでも合う万能のお酒であるのもさることながら、燻製特有の香りと風味が日本酒の香りと混ざり合い、いわゆる「お酒と料理のマリアージュ」を果たします。
なかでも魚介類の燻製は日本酒と非常に合うので、ぜひ熱燗や冷酒でお試しください。
ジン
スパイスやハーブをきかせた燻製には、ジンを合わせてみるのはいかがでしょうか。
ジンは蒸留の際に香草・薬草といった植物を使ったスピリッツです。香りも非常にボタニカルで薬草感が強いため、同じく香気の強い植物であるスパイス類との相性は抜群です。
また、燻製の際に使われるスモークチップの香りとも好相性で、総じて燻製料理との相性がよいです。
まとめ
初心者でも簡単に始められる基本の工程や、おすすめの食材、さらには変わり種の燻製食材や風味付けの調味料など、燻製をより楽しむための情報をまとめてご紹介しました。
燻製は、キャンプなどのアウトドアで楽しむのに最適な、手軽でおいしい料理です。
これらの情報を参考に、ぜひキャンプ場での燻製作りを楽しんでください。
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