昨今のキャンプブームも相まって、供給量が少ない人気商品や各メーカーから販売される限定品などの転売が相次いでいます。転売行為により入手難易度がさらに上がり、本当に使いたい人たちが買えないこの状況を解決する手段はないのでしょうか。問題を深堀ります。
Twitterでも情報発信しております。よろしければフォローお願いします。
繰り返され解決の兆しがない転売問題
本ブログでも何度が取り上げていますが、キャンプグッズの転売問題が度々発生しています。メーカーや販売店は抽選販売等で少しでも販売機会の均等化を図っていますが、抽選結果が出た途端にフリマサイトなどで出品されるという事象を目にしたことがある方も多いでしょう。
キャンプ業界で狙われている商品群
キャンプ業界ではいくつかのメーカーの商品群が転売行為の対象になっています。
コールマン
毎年シーズンランタンを数量限定で抽選販売しているため、プレ値がつきやすく狙われます。また、2021年に関してはコールマン120周年記念ということで、注目度がさらに上がりました。
スノーピーク
年に2回実施される雪峰祭(せっぽうさい)の記念品も数量限定での販売となるため、狙われやすい商品群です。2021年はHQ10周年の記念アイテムも販売されました。
DOD
元々供給量が少なく、抽選販売方式だけでなく先着販売方式も併用しているため、狙われやすくなっています。何度か炎上もしています。
ゼインアーツ / サバティカル
業界内で今一番注目されている新興ブランドと言っても過言ではないゼインアーツとサバティカルの商品ですが、これらも人気の割に供給量が少なく転売されやすくなっています。
ここまで見ていただいてわかる通り、転売されやすい商品というのは、(当たり前ですが)需要量に対して供給量が極端に少ない商品=欲しい人がたくさんいるにも関わらず、販売される数が少ない商品が狙われやすくなっています。需要と供給で価格が決まるという経済原理そのものです。
逆に、商品の供給量が多い、もしくは限定品などで購買を煽るようなことを滅多にしないメーカー(例えばロゴスやユニフレーム、キャプテンスタッグなど)の商品は転売の対象とはなりにくいです。
強固な姿勢で対策を講じたパーゴワークス
このような状況の中、先日抽選販売を実施したパーゴワークスの「ニンジャテント」でも同様に当選連絡後にフリマサイトに同商品が出品される事態となりました。
この事態に対し、パーゴワークスでは出品者1人1人に対し警告、返品対応を行いました。筆者が認識している限りでは、ここまで厳格な転売対策を講じた事例はこれが初めてです。
他業界を見ると対策の事例はある
転売問題はキャンプ業界だけで起きているものではなく、PS5やガンプラなど、もっとひどい状況を抱えている業界もあります。他業界にも目を向けると転売問題に強固に取り組んでいる事例が見えてきます。代表的なのは家電量販店を展開するノジマで、Webページ上で明確に転売対策していることを表明しています。
転売する人に販売しても普通の人に販売してもノジマが得られる利益はその商品においては変わりませんが、転売目的ではなく本当に使いたい人にきちんと商品を届けることが長期的な顧客との関係維持につながるという強い意思を感じます。
今後転売問題の改善の兆しはあるか?
転売問題を抱えている全メーカーがパーゴワークスやノジマのように強固に転売対策を行えば、転売問題は解決していくと思われますが、残念ながら記事執筆時点ではそのような状況になっておりません。
短期的には一般ユーザーに売っても転売ユーザーに売っても得られる売上額は同額ですが、中長期的に見れば本当に使ってくれるユーザーに商品を販売した方がメーカーにとっても良いはずなので、転売行為を快く思っているメーカーはいないはずです。
にも関わらず、十分な対策が講じられていないのには理由があるのでしょう。その要因を考察します。
仮説1: 販売数が多く個別対応している時間的な余裕がない?
転売出品される商品数が数十の単位であれば個別対応してもそれほど時間はかかりませんが、数百を超えるような場合、社員数も少ないようなメーカーは対応できないのかもしれません。
- フリマサイトのアカウントを作成する工数: 10分
- 警告文をつくる工数: 30分
- 出品者にメッセージを送る工数: 5分/件
だとすると200件対応したとしても2人日強なので、 本気でやればできなくもなさそうではあります。
仮説2: 出品差し止めは法的拘束力がない?
パーゴワークスの事例のように、商品発送前に出品が行われ、それに対して警告する場合は当選権利そのものを剥奪することが可能ですが、商品発送後に転売出品されてしまった場合、警告しても出品者が差し止めに応じなければ転売行為を止めることはできません。(そもそも各フリマサイトでは手元にない商品を出品すること自体ガイドラインで禁止されていますが。)
商品発送前の警告が一般的になれば、商品到着後の出品が増えるだけで所謂イタチゴッコになります。商品が転売ユーザーに渡ってしまった後にいくら販売時の規定違反だと警告しても、無視されてしまえば民事訴訟を1件1件起こすことはされないだろうと高を括られて結局転売行為を抑止することはできなくなってしまいます。
仮説3: 増産を優先しているため転売対策の優先度が上がらない?
そもそも商品の供給量が十分に多ければ転売問題は発生しません。効果が限定的でイタチゴッコになり得る転売ユーザーへの警告を実施するよりも、増産に注力することを優先するという判断もあるでしょう。
しかしながら生産ラインの確保が難航しているコロナ禍においては、十分に人気商品を増産できているメーカーは極めて少ないです。
以上の仮説から、メーカー側はなんとか転売を食い止めたいと思っているものの、効果的な打開策を打てずにいるのでは?と推察します。
まとめ
キャンプブームが一過性のもので、ブームが過ぎ去ればこのような問題はなくなるのかもしれませんが、ここ数年はブームは加熱するばかりで沈静化の兆しはなく、転売問題はより深刻になっているようにも見えます。買う人がいる限り転売はすぐにはなくならないでしょう。
その他キャンプグッズに関する記事はこちら。