2022年1月に生産終了したtent-Mark DESIGNS(テンマクデザイン)の「サーカスTC」がわずか9ヶ月後の同年10月に「サーカスTC+」として復刻販売されることとなりました。生産終了のアナウンスを撤回するような突然の復刻販売にはどのような背景があるのでしょうか。詳細をレビューします。
アイキャッチ画像出典: tent-Mark DESIGNS
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わずか9ヶ月で復刻販売されることになったサーカスTC
2022年1月に生産終了をアナウンス
2022年の1月、テンマクデザインの製品の中でも人気定番商品であった「サーカスTC」が生産終了することがアナウンスされました。生産終了の理由については詳細が語られず、「今後はサーカスTC DXに生産を集中させる」ということのみがアナウンスされていました。
9ヶ月後の2022年10月に「サーカスTC+」として復刻販売
2022年の9月、突然生産終了したサーカスTCを「サーカスTC+」として10月下旬に復刻販売することがアナウンスされています。
復刻販売の理由について今回も詳細は記載されていませんが、「廃盤告知以降サポートセンターへ多くの要望があった」ことが復刻の理由の1つになっているような記載があります。
サーカスTC+の特徴
復刻販売されるサーカスTC+の特徴を見ていきます。
トリプルファスナー仕様にアップグレード
サーカスTC DX+やサーカスST+同様、+シリーズの改良点として共通であるファスナーのトリプル化が今回のサーカスTC+にも採用されています。
価格は3,300円値上げ
旧サーカスTCの販売価格は34,980円(税込)でしたが、サーカスTC+は単体販売の場合38,280円(税込)で販売されます。値上げ率は9%となり、+シリーズにより価格改定された他製品の値上げ率と比べても妥当な範囲と言えるでしょう。
製品名 | 旧版 (無印シリーズ) | 新板 (+シリーズ) | 値上げ率 |
---|---|---|---|
サーカスTC | 34,980円 | 38,280円 | 9% |
サーカスTC DX | 43,780円 | 47,300円 | 8% |
サーカスST | 24,000円 | 27,500円 | 15% |
サーカスST DX | 29,700円 | 33,000円 | 11% |
お得なトリポットスペシャルセットも登場
サーカスTC+は今回単体販売だけでなく、三股ポールで幕内の空間を広く使えるオプション製品「サーカストリポット」とのお得なセット販売も提供されます。
別々に購入すると合計で54,780円(税込)となるところ、セット販売では43,780円(税込)となるため、11,000円分(20%)割引で購入できることになります。
販売価格(単体): 38,280円(税込)
販売価格(スペシャルセット): 43,780円(税込)
販売予定日: 【単体】2022年11月下旬、【スペシャルセット】2022年10月下旬
旧版サーカスTCはこちら
製品仕様詳細
■素材
本体: コットン混紡生地(TC)(表面撥水加工)ポリエステル65%、コットン35%
マッドスカート: ポリエステル
ウェビングテープ類: ポリプロピレン
ポール: スチール製5本継ぎ(φ32mm×2,800mm)×1
収納ケース: コットン混紡生地(TC )ポリエステル65% コットン35%、ポリエステルメッシュ
■サイズ
収納サイズ: (約)650×240(直径)mm
組立サイズ: (約)4,420×4,200×2,800(高)mm
■重量
総重量: (約)10.98kg
構成物:ペグ/張り綱/ポール/収納ケース/セットアップガイド含む
本体重量: (約)6.24kg(幕体のみ)
メインポール: (約)2.41kg
■付属品
ペグ(本体用)×15本、ペグ(設営ガイド用)×1本、張り綱×5本、収納ケース×4、設営用ガイドセット
■原産国
ベトナム
今回の復刻販売の真相は?
今回の復刻販売は、サポートセンターへユーザーから復刻を望む声が多く寄せられたためとされていますが、復刻させてしまうと元々サーカスTC DXへ生産を集中させると言っていた話はどうなってしまうのでしょうか。いまいち話の筋が通っていないので、復刻販売の真相を推察します。
在庫処分セール、廃盤によるラインナップ整理
既報の通り、テンマクデザインブランドを展開するWILD-1(運営会社はカンセキ)は、大幅割引の在庫処分セールを行っており、さらに94もの製品を2022年中に終売すると発表しています。
この背景はキャンプ業界全体に影響を及ぼしている原価高騰があり、実際にカンセキの決算情報にあるWILD-1事業のセグメント売上、利益を見ると苦戦のほどが伺えます。
(百万円) | 21年3〜5月 | 21年6〜8月 | 21年9〜11月 | 21年12月〜22年2月 | 22年3〜5月 |
---|---|---|---|---|---|
売上 | 3,172 | 3,506 | 3,692 | 2,638 | 3,079 |
利益 | 394 | 545 | 548 | 374 | 306 |
利益率 | 12% | 16% | 15% | 14% | 10% |
※WILD-1セグメントではWILD-1が卸販売する他社製品の売上や利益も含まれ、プライベートブランドであるテンマクデザイン製品の販売状況が及ぼす影響はその一部です。ただし、卸売しているブランドは軒並み販売価格の値上げを行っており、卸料率などの条件が変わらない限りは利益率を押し下げる要因にはならないと推察されます。
プロダクトポートフォリオから見る4万円の壁
こうした状況の中、おそらく一番の売れ筋製品であろうサーカスTCを34,980円(税込)では売り続けていけず、4万円台半ばで販売しているサーカスTC DX、サーカスTC MID+さらには新製品であるサーカスTCコンフォートソロに売れ筋を移していきたいというのが製品ラインナップの根底にあるように見受けられます。
しかし実際には思惑通りにはいかず、記事執筆時時点ではコンフォートソロ、TC DX+、MID+の3製品はいずれも在庫が潤沢にありサーカスTCのニーズを上手く分散させられているようには見えません。
旧サーカスTC生産終了後のテンマクデザインのサーカスシリーズを俯瞰して見てみると、TC素材のサーカスシリーズは4万円以上出さないと買えないようになっており、消費者の心理的なハードルが思いの外高く、他社に逃げてしまったという状況のように見えます。
以上のような考察から、一番の売れ筋商品を生産終了という形でラインナップから外し、単価を1万円上げるという思惑が叶わずやむなく4万円を切る価格で再びサーカスTCを復刻せざるを得なかったというのが今回の復刻販売の背景なのではないかと推察します。
復刻販売の意思決定から生産までのリードタイムがどうなっているかも気になるところですが、いずれにせよユーザーに支持されるかどうか次第で今後のラインナップも変わっていくものと予想されます。
まとめ
サーカスTCは発売当初から今現在に至るまで完成度の高い製品で、ワンポールテントの代名詞的な存在でした。月日が流れ原価が高騰し、競合製品も多く登場する中、プロダクトマーケティングの面でもユーザーが安心して購入できる展開が期待されます。そういえば2022年初夏に販売予定とされていたサーカスラックはどうなったのでしょう…。気になる方はぜひチェックしてみてください。
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