スノーピーク vs. 村の鍛冶屋 ソリッドステーク/エリッゼステーク訴訟問題

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snow peak(スノーピーク)ブランドを展開する株式会社スノーピークが、村の鍛冶屋ブランドを展開する株式会社山谷産業に対し、アウトドア用ペグ「エリッゼステーク」が同社の「ソリッドステーク」に酷似していると訴訟提起しました。問題の真相を紐解いていきます。

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両社の主張

両社の主張を改めて整理します。

株式会社スノーピーク

詳細は2020年12月9日に発表された以下の公式サイトのリリース文をご覧ください。要点をまとめると以下となります。

株式会社スノーピークの主張
・1995年から「ソリッドステーク」を販売している。
・株式会社山谷産業の「エリッゼステーク」は「ソリッドステーク」と形態が同一又は酷似していて、元判事からも同様の法的見解を得ている。
・2013年以来株式会社山谷産業と協議しようとしたが、解決の見込みがなく訴訟に至った。

株式会社山谷産業

これに対し株式会社山谷産業は2020年12月11日に以下のようなリリースを出しています。

株式会社山谷産業の主張
・エリッゼステークは2013年から販売開始。
・「エリッゼステーク」と「ソリッドステーク」の形態は同一または酷似していない。
・スノーピークの訴訟は審理結果が出ていないにも関わらず、不正競争防止法違反であると決めつけ、関係者に対し誤った印象を植え付けようとするものである。

不正競争防止法とは?

訴訟の拠り所となっている不正競争防止法とはどんな法律なのでしょうか。スノーピーク社は、エリッゼステークの販売が「不正競争防止法2条1項1号の不正競争に該当する」と主張しています。当該条項を以下に引用します。

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

平成五年法律第四十七号 不正競争防止法

両社の主張の食い違っている点

1. 「エリッゼステーク」と「ソリッドステーク」が同一又は酷似しているか?

キャンパーのみなさんは2社の商品を見比べて、どう思われますか?

ソリッドステーク

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出典: snow peak
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エリッゼステーク

エリッゼステーク
出典: Amazon

もう少し相対的に評価できるよう、市場で流通している鍛造ペグの外観を見てみましょう。

ペグ

ペグの性質上、
・上部先端はハンマーを打ちやすく平にし、ハンマーで打ちやすくする
・紐などでくくりつけやすくするよう、ロープホールをつける
・引き抜きやすいよう、カギ型の出っ張りをつける
という3点はどのメーカーも行っており、ある程度構造が似てしまうため、各社のデザインの差は大きくありません。

裁判で争われるのは、このような市場環境下で両社の製品が「同一又は酷似」しているかという点になります。

2. これまでの協議で解決できなかったのか?

スノーピーク社のリリースには、以下の記載があります。

山谷産業が「エリッゼステーク」の販売を開始した2013年以来、当社は幾度か山谷産業との間で協議を進めようとして参りましたが、今般、当社としては話し合いによる解決の見込みがなくなったと判断し、今回の提訴に至りました。

株式会社山谷産業及びその関係者に対する訴訟提起のお知らせ

具体的な協議の内容は明らかにされていませんし、山谷産業側のプレスリリースにはこれまで協議の機会があったことも記載がありません。

「エリッゼステーク」が「ソリッドステーク」と酷似していることを認め販売をやめる or 認めないのであれば訴訟するの2択しか両社の落とし所はなかったのでしょうか。

ここまで拗れる前の段階で折衷案を見いだせなかったのか、協議のプロセスが明らかにされていないため詳細がわかりません。

3. プレスリリースまで出す必要があったのか?

企業が発信するプレスリリースは、マスメディアへの転載がない限り、多数の一般消費者に届くことは稀です。スノーピークがプレスリリースを出す目的は、消費者に対してではなく、取引先や競合メーカー、もっと具体的に言うと恣意的にスノーピークのデザインを模倣している(しようとしている)メーカーへの牽制であると推察されます。

表に出ていないだけで、これまでも模倣品の訴訟案件などを抱えているのかもしれません。

今回の騒動で圧倒的に分が悪いのは山谷産業側です。本件によりスノーピークに消費者が嫌悪感を抱いて買い控えを起こすようなことはほとんど起きないでしょう。一方で、山谷産業側は主に販売店との取引継続が難しくなる可能性があります。上場企業であるスノーピークが元判事の見解まで持ち出してあのようなプレスリリースを出して敗訴してしまった場合の風評被害は甚大なものになるでしょうから、訴訟で勝てると相当自信があるものと思われます。

まとめ

現段階では両社の主張や協議の経緯についての情報が限定的で、どちらの主張に正当性があるのか、訴訟でどのような結論になるのか、なんとも言えません。

私個人は両社の製品を愛用していますし、ものづくりに対する姿勢にも好感を持っています。恣意的に他社製品を模倣して消費者に先行ブランドと誤認させるようなものづくりは淘汰されるべきだと思いますが、山谷産業の製品がそのようなものだとも思えません。

本訴訟でどちらが勝訴しても消費者に対してはメリットよりもデメリットの方が多く出てしまうと危惧しています。平和的な協議で収束できないか、両社にはぜひ検討いただきたいです。

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