ユニークな新商品を立て続けにリリースいていたDODから、ここしばらく新作テントが発売されていません。2021年10月のおうちテント以降、新商品のテントが出ていないため、6ヶ月間間があいています。その背景には何があるのでしょうか。新作テントをリリースしない理由を考察します。
アイキャッチ画像出典: DOD
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2021年10月以降新作テントが出ていない
2021年10月にリリースされたおうちテント以降、6ヶ月間強DODからテントの新商品がリリースされていません。2021年はほぼ毎月のように新作のテントがリリースされていたのに比べると、明らかに製品リリースのペースが落ちていると言えます。
月 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|
1月 | – | – |
2月 | ムシャテント | – |
3月 | ツクツクベース | – |
4月 | ヨンヨンベース カマボコテントベビー | – |
5月 | トゥリーラブ | |
6月 | – | |
7月 | フカヅメカンガルーテント ワンポールテントRX | |
8月 | わがやのテント | |
9月 | フカヅメフライ | |
10月 | おうちテント | |
11月 | – | |
12月 | – | |
合計 | 10製品 | 0製品* |
※2022年4月19日時点。
※既に販売されているテントの色違いのリリースはカウントせず。
テント製品のポートフォリオを整理中か?
ユニークな新製品をハイペースにリリースしていた2021年前半と比べ、製品リリースのペースを落としている理由はどんなところにあるのでしょう。背景を考察します。
合計78製品もあり選びにくくなっている現ポートフォリオ
要因の1つは、単純に言うと「商品を出しすぎて多くなりすぎた」ということがあるでしょう。現状DODのテント製品の商品ページには合計78製品も掲載されており、一般消費者がここから自分にあったテントを選ぶというのは非常にハードルが高いと思われます。
実際にはカラー違いやサイズ違いにより型番が分かれているだけの製品もありますが、それでも30〜40製品の中から自分にあった製品をオンライン上で見つけるというのは、難易度が高いでしょう。
売れるテントと売れないテントの二極化
スノーピークやコールマンなど、商品数が多くとも、幅広いニーズに対応するポートフォリオが組めていて、毎年モデルチェンジを繰り返しながら順調に販売数を伸ばしているメーカーももちろんあります。
DODもそうなっていれば新商品のリリースペースは維持されますが、残念ながら現実は売れるテントと売れないテントの二極化状態になっているのが現状のようです。
カマボコテントやタケノコテントのように、毎回抽選販売となり倍率も高い人気テントがある一方、値下げしても在庫をさばけなかったスパイダーベースのように、製品ごとに販売数に極端な差が出ています。
長期欠品製品への生産配分調整
DODから見た場合、売れないテントを生産して在庫を抱えるよりも、売れるテントをどんどん生産して利益を上げた方が健全な経営が可能です。そしてユーザーにとっても、求めていない魅力のない新製品を生産されるより、欲しいと思っているテントの供給量を増やして欲しいと思うのが当然です。
このような状況の中で、「売れるかどうかわからない新製品を立て続けに出す」というのは無理がある戦略で、遅かれ早かれポートフォリオの見直し、長期欠品製品への生産配分調整はいずれやらざるを得ない選択です。長期欠品製品に関しては当初アナウンスしていたスケジュールよりも前倒し調整ができてきているので、新製品のリリースストップによる効果が良い方向に出始めています。
製品名 | 型番 | 次回納期予定 |
---|---|---|
ワンポールテントRX | T6-817-TN | 2022年5月~6月頃 → 2022年5月下旬~6月中旬頃 |
ムシャテント | T1-819-KH | |
ツクツクベース | T8-780-TN | 2022年5月~6月頃 |
ツクツクベース | T8-780-KH | 2022年12月~2023年1月頃 |
レンコンテント2M | T3-736-TN | |
レンコンテント2M | T3-736-KH | 2022年6月~7月頃 |
タケノコテント用マット | MA4-800 | |
ソロソウルウォウウォウ | TT2-734-TN | |
ソロソウルウォウウォウ | TT2-734-KH | |
カマボコテント3S | T3-688-KH | |
カマボコテント3L | T7-690-TN | |
カマボコテント3L | T7-690-KH |
2022年のDODの販売戦略はどうなる?
Stay Crazyの精神でこれまで意欲的に新製品をリリースしてきたDODですが、2022年は新作テントはこのまま拝めなくなってしまうのでしょうか。今後の販売戦略を予想します。
直販チャネル以外でのセール(特に決算前)
起こりうる可能性が高いのは直販チャネル以外でのセールです。これまでDODでは大規模セールは実施してきませんでしたが、4月下旬からAmazonでセールが行われることがアナウンスされており、2022年はこれまでよりも在庫処分のために積極的にセールが行われることが予想されます。
DODブランドを展開するビーズ株式会社の決算が9月であることから、特に9月前にセールが行われるでしょう。ただし2021年に実施した「土俵際のこってキャンペーン」のように直販でセールを行ってしまうと、売れない商品の印象がついてしまいブランドイメージ毀損につながるため、セール対象チャネルは他販売店で行われる可能性が高いと思われます。
テント類は販売数を絞り、賑やかしは小物製品を中心に?
2022年の新作テントは大幅に絞られることが予想されます。新商品はせいぜい1〜2製品のみで、間が空きすぎないようこれまでの売れ筋テントの色違いリリースで間を埋める形になると思われます。この予想が大ハズレして新商品を年後半に10製品出すようなら本当にCrazyだと思います。
ただし、プロモーションは行わないと宣言しているDODにとって、新製品のリリース数減少は顧客誘引数の減少に直結してしまいます。実際にGoogleトレンドによると、DODの検索キーワード数は2020→2021年に比べ、2021→2022年の伸びは鈍化していることが伺えます。
そのため、テントの新商品はあまり出ない一方、テント以外のMOQ(最小発注数)が少なく在庫リスクも相対的に低い小物類(ファーニチャーや調理器具など)の新作リリースはこれまでと同等かそれ以上のペースで続くと思われます。
人気テントの供給量は増えるか?
最後に最も気になる部分がこちらです。「新製品を出さずに生産調整したのであれば、抽選待ちしている人気テントはもっと買いやすくなる」と期待してしまうのがユーザー心理ですが、前述した長期欠品製品の納期予想のリストを見る限り、予想納期の1〜2ヶ月前倒しが精一杯のようで、例えばカマボコテントの抽選販売がコロナ前のように毎月もしくは隔月のペースで行われるか?というと、難しいでしょう。
他メーカーで非常に上手く生産調整を行った事例がサバティカルです。2021年6月〜10月までは生産体制が確保できず販売をストップしていましたが、2021年11月以降は毎月のペースで抽選販売を再開できています。
まとめ
これまで立て続けにユニークな新商品をリリースし、ブランドファンを獲得しながら上手に値上げを行ってきたDODですが、在庫問題と生産調整問題を抱えながら難しい舵取りが必要な局面に直面しています。ユーザーとしては人気テントを安定供給して欲しいと思う一方、ユニークさのない当たり障りのない製品しかDODから出なくなってしまうと魅力を感じられないでしょう。今後もメーカーの動向に注視していきたいと思います。
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